about ashiya madang 

「ふれあい芦屋マダン」について

毎年春休みに地方の小さな街で、手づくりのお祭がおこなわれています。無名の市民たちが手弁当で15年も続けている「ふれあい芦屋マダン」です。
このお祭は、子どもたちに在日外国人や文化を知ってもらいたい・平和な偏見のない社会になってほしい−という強い願いをもつ人たちが、一生懸命ひらいてきました。
それは「そこらへんにいる人たちが、あたり前に参加して、出会いを楽しみながらおまつりをつくる」という市民活動の一つです。
なぜ、市民たちがこのお祭を支えつづけてきたか。
なぜ、在日外国人−とくに子どもたちの問題に取組む必要があるか。 この二つのことを軸にして「ふれあい芦屋マダン」をご紹介したいと思います。

どんなお祭りか

「ふれあい芦屋マダン」は兵庫県芦屋市で毎年3月に催される『子ども向け多文化交流』を目的としたお祭りです。参加者はおもに小学生の子どもたちと地域の人々です。1990年から始まりました。一回目は公民館の一室で参加者も数十人でしたが、次第に参加者も増え、芦屋市内の小学校の体育館や校庭で行っています。子どもやおとなが1000人くらい集まり、春休みの1日を過ごします。アジアを中心とした音楽や踊りなどの出し物と食べ物やグッズの模擬店、各国の民族衣装試着やアジアの遊びに多言語スタンプラリー、子どもたちも思い思いの品を持ちよりフリーマーケットをしています。マイノリティーの視点から障害者の作業所の参加や「特養」生活の高齢者の招待活動も行なっています。

誰がおこなっているか


主催は実行委員会。構成員は在日外国人問題に関心のある人たちです。おもに芦屋市内の教職員、「芦屋チャンゴ」という韓国・朝鮮の打楽器を練習する会のメンバー、ほか外国人市民など多様な人たちです。国籍は多様ですが日本人が大多数を占めています。「マダン」(朝鮮語で「広場」という意味)という韓国・朝鮮の印象が強いネーミングにもかかわらず在日韓国・朝鮮人がメンバーに少ないのも特徴です。2003年から「多文化共生に目をむけた地域づくり」という視点をもって、大学生のゼミ単位での参加があります。「ニューカマー」と呼ばれる人たちの参加もあります。運営の財源は市民からのカンパに頼っています。行政や諸団体からは後援は受けていますが、財政援助はありません。市民活動の常とはいえ財政活動は困難を極めています。労力を提供し、手弁当で、最後には各人の資力に応じたカンパも行なうという実行委員会です。

きっかけとひろがり


このお祭りのきっかけは、芦屋市にあった定時制の兵庫県立武庫高等学校(2004年3月学校統廃合により閉校)での在日韓国・朝鮮人問題への取組みでした。当時の「朝鮮文化研究会」の学習で、隣接している西宮市内の在日韓国人高校生の自殺事件に遭遇しました。誰にも言えず、将来への閉塞感に打ちひしがれての自死と感じた有志が、なにか行動を起こしたいと思いました。孤立した青年をつくらないよう、子どもたちに「在日」であることをプラスに伝えるのはどうだろうか。まず身近な子どもたちに民族の文化にふれて楽しんでもらおう‐じゃ、お祭りにしよう‐ということでした。小学校の教師たちは授業で韓国・朝鮮の民話を語り、歌を教えて子どもたちに参加をすすめました。武庫高等学校「朝鮮文化研究会」の在校生やOB・OGたちが、チャンゴなどの打楽器を習い農楽を演じました。市内の在日韓国・朝鮮人のオモニたちは手づくりのキムチや民族料理をもちよりました。開催するのはしんどいけど解放感を感じた、と当時の若者が語りました。子どもたちが楽しみ、若者が達成感を感じるという場を提供する―という姿勢を持ちつづけて現在に至っています。

学校がはたしたやくわり


このお祭をきっかけに芦屋では韓国・朝鮮料理教室やチャンゴ練習会が生まれ、活動を継続しています。活動形態を一口で形容すると「地味で細々と」です。市民活動を継続する際、施策がなく充分な財源のないところで満足な成果を期待するのは困難です。けれども自分たちの生活圏で違和感なく参加できる場の確保は重要です。
このお祭も含めて、これらの地域活動に兵庫県立武庫高等学校は大きな役割を果たしました。兵庫県の地域教育事業である「いきいきハイスクール」施策の活用で、料理やチャンゴ教室の人材発掘に貢献しました。武庫高等学校は地域の中で学校が果たす役割―すなわち文化の発信源たる可能性を見せてくれました。

各地のマダンの様子


1990年前後から在日韓国・朝鮮文化を発揮するお祭りが川崎、名古屋、福岡、など全国各地で行われるようになりました。関西圏でも同様です。大阪では「生野民族祭り」「みのおセッパラム」、京都の「東九条マダン」、神戸の「長田マダン」。兵庫県東部の阪神間では「伊丹マダン」「たからづか民族まつり」「尼崎民族祭り」「芦屋マダン」、兵庫県西部では「東播磨マダン」「三田フレンドシップ」など。 これらの祭りは、それぞれの地域性のなかで、地域の人々の求めに応じた役割を担ってきたと考えます。様々な制約で開催できず活動を休止しているところもあります。役割を終えたと感じている地域もあるようです。(2005年3月12日芦屋マダンプ・レイベント「まちづくりマダン交流会」を開催します)

社会的背景と課題


ご承知の様に日本には多様な外国人が暮らしています。オールドカマーと呼ばれる歴史的経緯によりすでに数世代にわたり日本で生計を営んでいる永住「在日」といわれる人々。少子・高齢化による労働力の補充、あるいはジャパニーズドリームを夢見て来日したニューカマーと呼ばれる人々。1980年代から急激に滞留・定住外国人人口が増え続けているとはいえ、全人口の3%強。いまだマイノリティーであり、在日外国人の権利状況には不満足な面も多くあります。労働問題や生活面の不備など、基本的人権を侵害する課題がたくさん残っています。
80年代当初、「デカセギ」など就労目的で来日したニューカマーたちも滞在期間が長くなると家族を呼び寄せる人たちが増えてきました。日本で世帯形成をする若者たちもいます。母国と日本。異文化の狭間で子どもたちがなおざりにされている状況が生まれました。
国籍が違う、母語が違う、文化が違う、外見が違うなど。在日外国人や帰国子女の子どもたちは社会からの支援が必要です。彼ら彼女らは個別の状況によって異なる「ニーズ」をもっています。

子どもたちのこと


「子どもの権利条約」にもうたわれているように、子育てや教育は親や保護者が主体者として行なう権利をもっています。しかし異文化の中での子育てや教育には、既存社会では整備されていない「ニーズ」が必要です。虐待などの社会的保護を必要とする子どもたちに対する支援はもちろんのことです。日本社会ではこの外国人の「ニーズ」への対応がたいへん不充分です。
厚生労働省が2004年に策定した「次世代育成支援推進法(新新エンゼルプラン)」は、3次にわたる改正を経て現在の状況に最も即応したと言える、日本の子育て支援の究極の法です。この法をもとに各自治体では地域行動計画を策定し、2005年度から5ヵ年計画で施策を行なうことになります。しかし、この法では、在日外国人や帰国子女への対応を「国際交流」や「国際理解」という範囲の中でしかとらえていません。日本に暮らす子どもたちが必要としている様々な「ニーズ」に目をむけるというナイーブさに欠けている、と言わざるをえません。この法のもつ本来の理念・理想を実現するためには、市民が声をあげ法の実行主体である自治体施策を充実させていく努力が必要です。

お祭の先にあること


お祭りでは、ふれあって楽しむことにより異文化は身近にあるという実感を持つことができます。すべての子どもたちは弱くて保護されるべき存在ではありません。主体的に生き、成長する権利をもっています。子どもたちの「ニーズ」に私たちの社会がどの様に対応していくか。お祭りの先にある大きな課題です。

芦屋マダン・市民からのメッセージ


「ふれあい芦屋マダン2005」に集まる市民たちは思いをこめて、このお祭をつくっていこうとしています。
子どもたちが幸せにくらせる、平和で偏見のない社会の実現には、ひとりひとりの市民の自覚と行動が大切です。いま何ができるか、いっしょに考えませんか。ぜひ私たちのお祭に、「ふれあって」ください。

マダンのなかまからのメッセージのいくつかをおつたえします。
「マダンという名称からは在日韓国・朝鮮人の人々を対象とした印象をうけがちですがが、ニューカマーの問題を忘れてはいけない」
「入り口として3つのF(Food Fashion Festival)は有効だが、その先にあるものを考えていきたい」
「個人が自分の意志で責任を持って参加する、気がついた者がやっていく」
「若者へ場を提供していく、それがおとなの役割だと思う」

「ここに来れば、約束しないでもみんなに会える」と在日の若者が語りました。
私たちはみんなに会いたくて心をこめて準備をしています。どうぞ「ふれあい芦屋マダン2005」へ「参加」してください。

(ふれあい芦屋マダン2005実行委員会 2005年1月)

「ふれあい芦屋マダン2005」応援してください!

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